《目次》行列演算からベクトル解析まで
先ず、行列とは、ベクトルを変換する関数を表であらわし、その表の要素を一定の規則でベクトルの要素に掛け算して、変換結果のベクトルを計算するために作られた表のことです。
行列によるベクトルの変換は、以下のようにあらわせます。
行列の要素を添え字を使ってあらわし、その添え字を変数にして、
AmkBk=B’m
と書きます。
こういうふうに書いて、添え字の変数kの名が、行列Aの要素の添え字とベクトルBの要素の添え字で同じ名にそろえた場合は、
その添え字kのあらゆる場合(この場合は1と2だけ)の和をあらわすものとします。
この変換は、以下のように行列を列ベクトルに分解してもあらわせます。
の通りです。
行列の掛け算(行列の積)のルールは、以下のように書くと覚えやすい。
AmkBkp=Cmp
と書く。
こういうふうに書いて、添え字の変数kの名が、行列Aの要素の添え字と行列Bの要素の添え字で同じ名にそろえた場合は、
その添え字kのあらゆる場合(この場合は1と2だけ)の和をあらわすものとする。
計算結果の行列Cの要素の計算の具体的内容は上記の通りである。
このように行列の掛け算をあらわすと、行列の掛け算の規則がおぼえやすくなる。
このあらわし方は、アインシュタインが考えた方法です。
この式のあらわし方をアインシュタインの縮約記法と呼びます。
以下の行列の説明では、特に断らない限り、行列の掛け算をアインシュタインの縮約記法で記述します。
(別の覚え方)
上記の覚え方では行列の掛け算の定義を覚えにくいという人には、以下のような覚え方もあります。
行列は、ベクトルを変換した結果のベクトルを並べたものです。
そのため、以下のように変換されます。
結局、
となる。
上のように書くと、きれいな式で一見覚え易いように見えます。
しかし、行列の要素に添え字を付ける方が、これより明確だと思います。
(1)先ずは、行列の要素をAmkとあらわせば、それが行列Aに属すかが明確に分かります。
(2)また、その要素の行列内の位置(m行目、k列目)も明確になるので
わかりやすい表現だと思います。
そのため、上の式の要素に添え字を付けて以下のようにあらわします。
行列Bに行列Aを掛け算した結果の行列の左側の縦の列ベクトルは、 行列Bの左側の縦の列ベクトルを行列Aで変換した結果のベクトルであり、
掛け算した結果の行列の右側の縦の列ベクトルは、 行列Bの右側の縦の列ベクトルを行列Aで変換した結果のベクトルです。
この式は、以下の式と同じです。
Cmp=AmkBkp=Am1B1p+Am2B2p
この式は、更に以下の図であらわせます。
この計算のイメージは以下のようになります。
ちなみに、この行列の積のルールで計算した行列の積の順序を変えた場合、
AmkBkpとBmkAkp の行列は必ずしも同じにはなりません。
後で学ぶことですが、この2つの積は、行列の固有値は同じです。
行列の掛け算の例を以下に示します。
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