2012年2月19日日曜日

回転した楕円の方程式



大学への数学Ⅲ&Cの勉強
行列と連立1次方程式

以下の説明は少し長くなります。回転した楕円の式を手っ取り早く求める方法を次ページに書きましたので、楕円の式のみに興味のある人は次のページに進んでください。
(ただし、このページの最後の、楕円の軸ベクトルの公式は見て欲しい。)

【解説】
直線を座標原点を中心に回転させる場合は、以下の図のように、回転した直線の方程式が求められます。



直線の式は、直線上の点の位置ベクトルと単位ベクトルaの内積が直線と原点との間の距離cであるという関係をあらわす式ですので、直線を回転すると、その単位ベクトルaが回転します。それで、回転した直線の式は単位ベクトルaを回転変換することで求められます。


次に、楕円を座標原点を中心に回転させる場合を、
以下の図で考える。




楕円の式は、楕円の軸をXY座標軸に合わせるように回転を巻き戻した場合の式はわかっています。そのため、回転した楕円上の点(X,Y)を、回転を巻き戻した楕円上の点(X’,Y’)に変換して、その点のXY座標を楕円の式であらわします。
回転した楕円上の点の座標(X,Y)を(X’,Y’)に変換する、回転の巻き戻し変換の行列をCmkとします。
以下では、この行列による座標の変換の式を楕円の式に代入して、その代入した式を変形することで回転した楕円の式を計算します。






以上の計算結果をまとめると、

こうして、回転した楕円をあらわす方程式が計算できました。
回転した楕円の方程式をあらわすために対称行列Fksを利用しました。

この楕円をあらわす方程式の左辺Xksは、
ベクトルXとべクトル(Fks)との内積を計算する式です。
すなわち、べクトルXを行列Fksで変換して作ったベクトルと元のベクトルとの内積を計算する式です。
元のベクトルXが固有ベクトルのとき、固有ベクトルは固有値倍に拡大されます。
その内積の計算結果は、元のベクトルの長さの2乗を固有値倍した値になります。

結局、楕円は、位置ベクトルXを対称行列Fksで変換して作ったベクトルと元の位置ベクトルとの内積が1になるという関係を満たす点の集合です。

次に、回転した楕円の式が与えられたとき、その楕円はどれくらいの角度回転した楕円であるか、その回転角度を楕円の式から計算する方法を考えます。
その方法は、以下の楕円の軸の性質を利用します。


 なお、この軸ベクトルBは、楕円の(-θの)回転変換の行列の2列目の列ベクトルC-1k2です。


 なお、この軸ベクトルGは、楕円の(-θの)回転変換の行列の1列目の列ベクトルC-1k1です。

以上のように、回転した楕円の軸ベクトルは、対称行列Fksの固有ベクトルです。そのため、対称行列Fksの固有ベクトルを計算すれば回転した楕円の回転角度がわかります。


なお、回転した楕円の軸の長さaとbは、以下のように計算して固有値(1/a)と(1/b)を得ることでわかります。
(F11-λ)(F22-λ)-F12=0
λ-(F11+F22)λ+F1122-F12=0
λ-((1/a)+(1/b))λ+(cosθ+sinθ+2cosθsinθ)(1/(ab))=0
λ-((1/a)+(1/b))λ+(cosθ+sinθ)(1/(ab))=0
λ-((1/a)+(1/b))λ+(1/(ab))=0
(λ-(1/a))(λ-(1/b))=0
∴ 固有値は、(1/a)と(1/b

楕円の方程式は、固有ベクトルの方向では、
ベクトルの長さの2乗×固有値=1 
すなわち、
ベクトルの長さの2乗=1/固有値
よって、そのベクトルの長さはaとbです。

以下で、この固有値λ毎に固有ベクトルを計算します。

固有値λ=(1/a)の場合、
行列Fks-λEksを計算する。
11-(1/a)E11=((-1/a)+(1/b))sinθ
12-(1/a)E12=((-1/a)+(1/b))cosθsinθ
21-(1/a)E21=((-1/a)+(1/b))cosθsinθ
22-(1/a)E22=((-1/a)+(1/b))cosθ
この行列の余因子行列Hmpは、以下の式になる。
11=((-1/a)+(1/b))cosθ
12=-((-1/a)+(1/b))cosθsinθ
21=-((-1/a)+(1/b))cosθsinθ
22=((-1/a)+(1/b))sinθ
この余因子行列の縦ベクトルHm1は固有ベクトルに比例する。
m1=((-1/a)+(1/b))(cosθ, -cosθsinθ)
(注意)表示の都合で、列ベクトルの2成分を1行に記載した。
ここで、((-1/a)+(1/b))cosθ≠0の場合に、
このベクトルを((-1/a)+(1/b))cosθで割り算すると、
(cosθ, -sinθ)
という固有ベクトルが得られる。
あるいは、-((-1/a)+(1/b))sinθ≠0の場合に、
 m2を -((-1/a)+(1/b))sinθで割り算すると、
同じく、
(cosθ, -sinθ)
が固有ベクトルとして得られる。
結局、 ((-1/a)+(1/b))≠0の場合に、
(cosθ, -sinθ)
が固有ベクトルとして得られる。 
この固有ベクトルは、楕円の軸ベクトルGである。

固有値λ=(1/b)の場合、
行列Fksは、a→b,b→a,cosθ→sinθ,sinθ→-cosθという置き換えをしたら同じ式になるので、
固有値(1/a)の固有ベクトルの解を、そのように置き換えることで、固有値(1/b)の固有ベクトルの解になる。
∴ 固有ベクトルは、
(sinθ, cosθ)
これは、楕円の軸ベクトルBである。

(蛇足)
固有ベクトルを求めて楕円の回転角度を求める以外の方法で楕円の回転角度(-θ)を計算する方法として、以下のようにしても角度θを計算できる。
((-1/a)+(1/b)){cosθ-sinθ}≠0の場合に、
2F12/{F22-F11}=2sinθcosθ/{cosθ-sinθ}=tan(2θ)
こうして、回転した楕円の式から、楕円の回転角度の2倍のタンジェントが計算できる。

この、楕円の回転角度2θの公式を導く方法として、固有ベクトルが同じ行列(対称変換行列)を計算することで、この公式を導くこともできる。

【楕円の軸ベクトル(固有ベクトル)の公式】
一方、以上の計算の結果の、対称行列Fの固有ベクトル(角度-θ方向の、楕円の軸の方向のベクトル)をあらわす公式は以下のようにあらわせる。上の蛇足の公式を覚えるよりは、以下の計算手順を含めた公式を覚える方が覚え易いのではないかとも考える。
先ず、固有値は以下の式で計算できる。
 
この固有値毎に以下のように固有ベクトルが計算できる。

 楕円の軸ベクトルの公式は上の蛇足の公式と以下の関係で結び付いています。




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