2012年2月3日金曜日

行列式が0になる行列は、余因子行列の列ベクトルを0ベクトルに変換する

 
 
大学への数学Ⅲ&Cの勉強
行列と連立1次方程式


行列Ampに対する余因子行列Bstを、以下の式で定義します。


(1)
2行2列の行列Ampの余因子行列Bstは、
エディントンの行列式の計算記号εmpを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
1m=εmpp2
2p=εmpm1
で計算します。
この計算に利用する行列
εmp
は、
ε12=1,
ε21=-1
であり、それ以外の
εmp=0
です。
余因子行列Bstは、具体的には、
11=A22
12=-A12
21=-A21
22=A11

こうして計算した余因子行列Bstを行列Ampに掛け算すると、
行列Ampの行列式=Δとすると、
1mm1=εmpm1p2=Δ
1mm2=εmpm2p2=0
2pp1=εmpm1p1=0
2pp2=εmpm1p2=Δ

sttp=Δ・Esp
このEspは、単位行列。

 (2)
3行3列の行列Ampの余因子行列Bstは、
エディントンの行列式の計算記号εmpsを使って、アインシュタインの縮約記法であらわして、
1m=εmpsp2s3
2p=εmpsm1s3
3s=εmpsm1p2
で計算します。
この計算に利用する行列
εmpr
は、
ε123=ε231=ε312=1
ε213=ε321=ε132=-1
であり、それ以外の
εmpr=0
です。


こうして計算した余因子行列Bstを行列Ampに掛け算すると、
3行3列の行列Ampの行列式=Δとすると、
1mm1=εmpsm1p2s3=Δ
1mm2=εmpsm2p2s3=0
・・・
結局、
smmp=Δ・Esp
このEspは、単位行列。


(3)
このように、余因子行列Bsmは、
行列Ampの左から掛け算することで、Δ・Esp
となる行列です。


(4)
また、行列Ampの右から掛け算する場合も、同じことになります。
そうなるのは、行列式が以下の式でもあらわせることに由来します。
つまり、2行2列の行列式Δは、
Δ=εmpm1p2
Δ=εmp1m2p
ともあらわせ、
また、3行3列の行列式Δは、
Δ=εmpsm1p2s3
Δ=εmps1m2p3s
ともあらわせることに由来します。
(この証明は省略)


以下では、余因子行列Bsmの右側からの掛け算でも、この関係を満足することを確認するために、2行2列の行列を例に、直接計算してみます。
11=A22
12=-A12
21=-A21
22=A11
この余因子行列Btmの左から行列Astを掛け算すると、
1tt1=A1111+A1221=A1122-A1221=Δ
1tt2=A1112+A1222=-A1112+A1211=0
2tt1=A2111+A2221=A2111-A2221=0
2tt2=A2112+A2222=-A2112+A2211=Δ

sttm=Δ・Esm
このように、余因子行列Btmは、
行列Astの右から掛け算しても左から掛け算しても、Δ・Esm
となる行列です。


(5)
ベクトルBt1に対して、
(ベクトルBt1は、(B11, B21)です。)
stt1=Δ・Es1
そのため、行列Astの行列式Δ=0の場合、
行列Astは、ベクトルBt1を0ベクトルに変換します。
このベクトルはこの行列の固有値0に対する固有ベクトルです。
また、ベクトルBt2に対しても、
stt2=Δ・Es2
そのため、行列Astの行列式Δ=0の場合、
行列Astは、ベクトルBt2も0ベクトルに変換します。


2行2列の行列Astの行列式Δ=0の場合、
ベクトルBt1とベクトルBt2は、同じ方向を向いた平行なベクトルです(証明は省略)。そのため、そのうち一方だけで(ただし、それが0ベクトルで無いベクトルを選ぶこと)、0ベクトルに変換されるベクトルの代表にすることができます。


このように、行列Astの行列式Δ=0の場合、
その余因子行列の列ベクトルBt1(又はBt2)は、行列Astが0ベクトルに変換します。




リンク:
追加講:三角形の面積と行列式
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