2012年3月20日火曜日

楕円を円に一次変換する



大学への数学Ⅲ&Cの勉強
行列と連立1次方程式

【解説】


上図のように、回転した楕円の位置座標(X,Y)を行列Aksにより(X’,Y’)に一次変換して楕円を円に変形する問題を考える。

点(X,Y)の描く楕円の式は以下のように変形できる。


この式を以下のように、

とする一次変換の行列Aksを求める問題です。
この式は以下のように変形できます。


このような関係を満足する行列Aksを求める問題に帰着します。

この解は1つではありませんが、以下で、1つの解を計算する方法を説明します。また、別解として、より簡単に得られる解の計算方法を示します。

ここで、楕円の式を与える行列Fmpの固有値をαとαとする。楕円の式をあらわすとき、これらの固有値は正値である。

固有値αの固有ベクトルをPm1とし、
固有値αの固有ベクトルをPm2とする。
ここで、一旦、アインシュタインの縮約表記を止める。
以下の式が成り立つ。

(以下の公式を思い出して)



このように定義した行列Ampも解の1つとなり得ることを以下で証明する。
固有値が正値であるので、その平方根も実数で得られる。

その平方根は、正値以外に、負の値にしてもかまわないが、以下の計算では、正値の平方根で計算を進める。

ここで、ケイリーハミルトンの定理を利用して、この行列Ampが対称行列であることを証明する。


(補足)なお、対称行列Fmpの固有ベクトルは互いに直交するべクトルになることが知られている。そして、その場合は、固有ベクトルの作る座標変換の行列Pmkは回転行列になるように整えることができる。その場合は、その回転行列で変換して作られる行列Ampは対称行列になる。(n行n列の行列で同様な問題を扱う場合は、そのようにして、行列Ampが対称行列になることを証明する)

行列Ampが定義できたので、
以下では、アインシュタインの縮約表記に戻って、計算を進める。



こうして、回転した楕円を、その楕円の位置座標(X,Y)を以上の計算で求めた行列Aksを使って(X’,Y’)に一次変換すれば、その楕円を円に変形することができることがわかった。

【別解】

とおくと、
ここで、元の式で、b>0でなければならない。
そして、
(c-(d/b))>0であることが楕円の条件である。
(c-(d/b))<0の場合は、双曲線の標準形に1次変換される。
(c-(d/b))=0の場合は、2つの直線に1次変換される。
放物線に1次変換されるためには、元の式にXかYの1次の項がある必要がある。

よって、
11=√b
12=(d/√b)
21=0
22=√(c-(d/b))

ここで得られた行列を使って検算すると、たしかに以下の式が成り立っている。
tmtp=Fmp
tmの解のうち、この解が一番速く計算できる。

【総合解答】
上の別解を拡張して全てのAtmの解を計算する。
bX+2dXY+cY=1 (1)


以下の形のX、Yに関する恒等式を組み立てる。
bX+2dXY+cY(fX+gY)+(hX+kY) (2)
X’=fX+gY
Y’=hX+kY

上の恒等式2を組み立てると、最初の式1は以下の式3に書き換えることができる。
X’+Y’=1 (3)
 

 以下では、先の式2が恒等式になるために必要なf,g,h,kの条件を求める。
+h=b (4)
+k=c (5)
2fg+2hk=2d (6)
必要な条件は以上の式4から6である。
 

式4から式6の連立方程式を解く。
f=(√b)cosα (7)
h=(√b)sinα (8)
g=(√c)sinβ (9)
k=(√c)cosβ (10)

上のように式7から10でf,g,h,kを定めると、式4と式5が成り立つ。
式6に式7から式10を代入し、2で割ると以下の式を得る。
(√(bc)){cosα・sinβ+sinα・cosβ}=d
sin(α+β)=d/(√(bc)) (11)
ここで、
α+β=θ (12)
とおいて、式11を書き換えると、
sin(θ)=d/(√(bc)) (13)
この式13により、θが定まる。
任意のαと、固定した値のθとで、f,g,h,k全てがあらわされる。
式12から、
β=θ-α
として、式9と10を書き換えると、
g=(√c)sin(θ-α) (14)
k=(√c)cos(θ-α) (15)
式13で定められるθと任意の値のパラメータαを用いて、式7,8、14、15で、変換の全てのパラメータf,g,h,kが定められる。

【対称行列となる解】
これで解答が得られたが、このうち、パラメータf、g、h、kで定まる変換行列が対称行列になる特別な場合を調べておく。
g=h=(√c)sin(θ-α)=(√b)sinα
sinα(-(√c)cosθ-(√b))+cosα((√c)sinθ)=0
1/tanα=((√c)cosθ+(√b))/((√c)sinθ)
cosθ≧0とする解は
1/tanα
=((√c)√(1-(d/(bc)))+(√b))/((√c)(d/(√(bc))))
=(√(c-(d/b))+(√b))/((d/(√b)))
=(√(bc-d)+b)/d
1/sinα=1+(1/tanα)
={d+(bc-d)+b+2b√(bc-d)}/d
={bc+b+2b√(bc-d)}/d
=b{c+b+2√(bc-d)}/d
=h=b・sinα=d/{c+b+2√(bc-d)}
=d/{c+b+2√(bc-d)}
bc-d=Δ とおくと、
=h=d/{c+b+2√(Δ)}
gとhがdと同じ符号を持つ解を求める。
g=h=d/√{c+b+2√(Δ)}
式1から、
f=h/tanα=(√(Δ)+b)/√{c+b+2√(Δ)}
式0から
fg+hk=d
(√(Δ)+b)d/{c+b+2√(Δ)}+dk/√{c+b+2√(Δ)}=d
(√(Δ)+b)/{c+b+2√(Δ)}+k/√{c+b+2√(Δ)}=1
(√(Δ)+b)/√{c+b+2√(Δ)}+k=√{c+b+2√(Δ)}
k={c+b+2√(Δ)-(√(Δ)+b)}/√{c+b+2√(Δ)}
={c+√(Δ)}/√{c+b+2√(Δ)}
以上で得た解を整理する。

ここで得たパラメータf,g=h,kから成る1次変換の対称行列Atmとパラメータb,c,dからなる対称行列Fmpとは、掛け算を計算してみると、演算順序を交換しても結果が変わりません。
これは、次のページで説明することですが、行列Atmと行列Fmpとは固有ベクトルを共有していることを意味します。
そのため、この行列Atmは、最初に考察した1つの解、その固有値が行列Fmpの固有値の平方根である対称行列の具体的な解になっています。

【対称行列となる変換行列Atmの簡単な計算方法】
パラメータf、g、h、kで定まる変換行列Atmが対称行列になる場合には、その行列の2乗が対称行列Fmpになることを利用して、もっと簡単に変換行列Atmを求めることができます。その計算方法を以下で説明します。
tmmk=Ftk (1)
この場合、行列Ftkの行列式
bc-d=Δ
とおくと、
行列Atmの行列式=±√Δ
になります。このうち、行列式が√Δとなる解のみを求める。
行列Atmに関するケイリー・ハミルトンの定理は以下の式になります。
tmmk-(A11+A22)Atk+(√Δ)Etk=0tk (2)
式2に式1を代入すると、
tk-(A11+A22)Atk+(√Δ)Etk=0tk
(A11+A22)Atk=Ftk+(√Δ)Etk (3)
この行列の対角要素の和を計算する。
(A11+A22=F11+F22+2(√Δ)
(A11+A22)=√{F11+F22+2(√Δ)}=√{b+c+2(√Δ)}
これを式3に代入する。




リンク:
追加講:三角形の面積と行列式
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2012年3月15日木曜日

固有ベクトルが同じ行列



大学への数学Ⅲ&Cの勉強
行列と連立1次方程式

ページ内リンク:
▷解説
▷対称行列
▷固有ベクトルの数が少ない異常な行列

【解説】
固有値はどうであれ、固有ベクトルが同じ2つの行列を考えます。
特に、n行n列の行列ならn個の共通する固有ベクトル
t1
t2
・・・
tn
が存在する”正常な”行列AstとBstを考えます。
(固有ベクトルの数がn個より少ない"異常な"行列は、対角化ができないという異常さがあります。ここでは、そういう異常な行列は考えないことにする)

それらのベクトルを固有ベクトルとする行列Astは、その固有ベクトルを並べた行列Ptkを用いて以下の式で計算することで、対角化した行列Cukに変換できます。
-1ussttk=Cuk   ←Asttk=Psuuk
同じそれらのベクトルを固有ベクトルとする行列Bstも同様に、行列Ptkを用いて以下の式で計算することで、対角化した行列Dukに変換できます。
-1ussttk=Duk
対角化された行列CとDでは、以下の関係が成り立ちます。
ukks=Dukks  (1)
なぜなら、u=k=sの場合以外では、式1の項が0になるからです。そして、以下の式のように、u=k=sとなるk番目の対角成分がkkkkになり、その積の値は行列CとDの積の順番には関係しないからです。
 式1により、対角行列の掛け算の順序が交換可能(可換)です。
この式1の左からPmuを掛け算して、右からはP-1stを掛け算します。 
muukks-1st=Pmuukks-1st
muup-1pwwkks-1st=Pmuup-1pwwkks-1st
mwwt=Bmwwt
∴ 行列Amwと行列Bwtの掛け算の順序が交換可能(可換)です。

《行列が交換可能ならば固有ベクトルが等しいか?》
 逆に、n行n列の行列に関して、n個の固有ベクトルの数を完備する”正常な”行列AstとBstの掛け算の順序が交換可能(可換)な場合に、もし、行列 の固有値が全て異なる場合には、行列Amwの固有ベクトルn個が、そっくりそのまま、行列Bstの固有ベクトルでもあります。
(行列Aの複数の固有値が等しい場合は、行列Aが行列Bと交換可能(可換)であっても、行列Aの固有ベクトルが行列Bの固有ベクトルになるとは限らない)
 そのことを以下で証明します。

mwwt=Bmwwt  (2)
この行列Amwの固有ベクトルn個を並べた行列をPmuとします。
この式2の左からP-1umを掛け算して、右からはPtsを掛け算します。 
-1ummwwtts
=P-1ummwwtts

-1ummppk-1kwwtts
=P-1ummppk-1kwwtts

uk-1kwwtts
=P-1ummppkks

ここで、Cukは対角行列であるから、
その対角された成分(固有値)を順番にαとすると、
α-1uwwtts =P-1ummppsα
α-1ummpps =P-1ummppsα
(α-α)P-1ummpps=0us (3)
《ここで、行列Amwの全ての固有値αが異なる場合は、》
式3の左辺の行列のu行s列のu≠sである成分を(α-α)で割り算した結果が式3の右辺の0行列の各成分の値0と等しくなります。
u≠sの場合、
-1ummpps=0us
すなわち、P-1ummppsは対角行列になります。
つまり、行列Bmpも、行列Amwの固有ベクトルの作る行列Ppsで対角化できます。
行列Bmpを対角化できる行列Ppsの各縦ベクトルは、行列Bmpの固有ベクトルです。
∴ (行列Amwの全ての固有値αが異なる場合は)
行列AstとBstの掛け算の順序が交換可能(可換)な場合には、行列Amwの固有ベクトルn個が、そっくりそのまま、行列Bstの固有ベクトルになります。
よって、行列が単位行列の定数倍以外であって、行列の固有値が重解(重根)を持たないときは、
(1)行列AとBの固有ベクトル(の方向)が同じならば、行列の積AB=BAになり、
(2)また、行列の積AB=BAならば、 行列AとBの固有ベクトル(の方向)が同じになります。

《一方、行列Amwの固有値αに同じ値の重複がある場合は、》
u≠sであっても、α=αである(行列Aの固有値に重複がある)場合は、
-1ummppsが0で無く、行列Bmpが行列Aの固有ベクトルで作った行列Ppsで対角化され無くても、行列の積AB=BAという交換関係がある。行列AにもBにも共有されている正しい固有ベクトルは、固有値の重複がある行列Aの固有ベクトルを解くことでは見分けにくくなっている。


《対称行列》
 対称行列では、(固有値が異なる)固有ベクトルは互いに直交する。また、固有値が同じ固有ベクトルも、互いに直交する固有ベクトルに変換できる。そして、対称行列の固有ベクトルは、正規直交系を成す固有ベクトルを選ぶことができる。対称行列Aと対称行列Bが、共通する、(直交系を成す)固有ベクトルによって対角化されている場合は、行列の積AB=BAという交換関係がある。
(具体例)
(行列A)
1,1,0
1,0,1
0,1,1
の固有値を計算すると、1,-1,2であり、3つの異なる固有値を持つ。
その固有ベクトル(縦ベクトル)は、

がある。
これらの固有ベクトルは互いに直交している。
(行列B)
0,1,1
1,0,1
1,1,0
の固有値を計算すると、-1が2つ(重複)と、2とである。
その固有ベクトル(縦ベクトル)は、

があるが、固有値-1に係る2つの固有ベクトル

が直交していない。

ここで、行列AとBには、行列の積AB=BAという交換関係がある。
固有値の値が全て異なる行列Aの固有ベクトル

を使って行列Pを作ると、
-1APが対角行列になり、
-1BPも対角行列になる。

しかし、固有値の値が重複している行列Bの固有ベクトル

を使って行列Pを作ると、
-1BPは対角行列になるが、
-1APは対角行列にならない。
ここで、行列Bの固有値-1に係る2つの固有ベクトルの、

を線形結合すると、
行列Aの2つの固有ベクトルの、

が作れる。その固有ベクトルは、互いに直交し、他の固有ベクトルとも直交する。
そのように整えて、行列Aの固有ベクトルと同じ固有ベクトルにした縦ベクトルで行列Pを作るならば、
-1BPも、
-1APも、対角行列になる。
 そのように、行列Bの重複する固有値に係る固有ベクトルを、互いに直交させつつ、かつ、他の固有ベクトルとも直交するベクトルに整える。その固有ベクトルを行列Aの固有ベクトルと同じにすることで、その固有ベクトルで作る行列Pを使って、行列Aも行列Bも対角化させることができる。
(注意)
 重複する固有値を持つ行列Bの固有ベクトルは、固有ベクトル同士が直交はするが、行列A用とは異なる方向の固有ベクトル系に整えることもできる。行列Bは、その異なる固有ベクトル系を共有する他の行列Cとも、行列の積BC=CBである交換関係がある。

 なお、行列AとBが共有する固有ベクトルを大きさが1の単位ベクトルにした(正規直交系を成す)固有ベクトルで作った行列Pは以下の形になる。


《直交しない固有ベクトルを持つ行列》
非対称な行列A:

は、固有値1の固有ベクトル

を持つ。
また、固有値2の固有ベクトル

を持つ。
行列Aを対角化する行列Pは、その固有ベクトルを並べた行列であり、

である。その逆行列Pー1は、以下の行列

である。それらを使って行列Aが対角化でき、
ー1APが、

という対角行列になる。

【対角行列】

 対角行列の固有ベクトルは(1,0)と(0,1)で、この固有ベクトルをすべての対角行列が共有する。
そのため対角行列同士では行列の積が交換可能である。
(固有値に重複が無い)対角行列との行列の積が交換可能な行列は対角行列の一種である。

【回転行列】

 また、回転行列の固有ベクトルは(i,1)と(i,-1)であって、この固有ベクトルはすべての回転行列が共有する。 
そのため、回転行列同士では行列の積が交換可能。
回転行列との行列の積が交換可能な行列は回転行列である。

固有ベクトルを共有する行列は行列の積が交換可能であるという原理は、大学で量子力学を学ぶときなどに利用されます。

【単位行列E
mwとその他の行列との積の交換関係】
n行n列の単位行列のn個の固有値は全て1であって等しい。
この単位行列は、全ての行列と行列の積が交換可能である。
単位行列の固有ベクトルは全ての方向のベクトルが固有ベクトルである。
そのため、単位行列は全ての行列と、固有ベクトルを共有することが可能である。
そのことは、以下の様に言うこともできる。
(単位行列Emwの全ての固有値αが等しい場合)
単位行列Estと任意の行列Bstの掛け算の順序がいつでも交換可能(可換)である。その場合に、行列Bmwの固有ベクトルn個を、そっくりそのまま、単位行列Estの固有ベクトルにすることができる。しかし、単位行列Eの固有ベクトルのセットのうちには、行列Bを対角化できないものもあるのです。

固有ベクトルが一致する関係が成り立つことが本質的に重要です。
2行2列の行列の場合に、行列AstとBstの掛け算の順序が交換可能(可換)な場合に、
st=βAst+γEst
となることが試験問題に出されていますが、それは、2行2列の行列で、固有ベクトルが同じ行列がそういう式であらわされるからです。
2行2列の行列でこの関係が成り立つ理由は、
2行2列の行列に限っては、あらゆる対角行列Dstは、固有値の異なる対角行列Cstを使って、
st=βCst+γEst
とあらわすことができることに由来します。
しかし、3行3列以上の行列では、
計算順序が交換可能(可換)な行列同士では、共有する固有ベクトルを持つが、
st=βAst+γEstという関係は必ずしも成り立たない。その関係は、可換な行列同士に普遍的に成り立つ関係ではありません。

しかしながら、それにより、
「2行2列の行列に限っては、単位行列と足し合わせることで、計算順序が交換できる全ての行列を作ることができる」
という便利な関係があることがわかります。

【楕円をあらわす行列と固有ベクトルが同じ行列を作って楕円の固有ベクトル(軸ベクトル)を計算する】
この行列には、列ベクトル同士の内積が0になる、すなわち、列ベクトルが直交するという特別な性質があります。
そのため、この行列は以下のようにあらわすことができます。
 この行列Sは、以下のように、ベクトルを、傾き角θの直線に関して対称なベクトルに変換する行列です。
つまり、傾き角度θの直線の方向のベクトル成分はそのままにして、それに直交する方向のベクトル成分には-1を掛け算する変換をする行列です。
 傾き角度θの直線の方向のベクトルが第1の固有ベクトルであり、それに直交する方向のベクトルが第2の固有ベクトルです。
それらの固有ベクトルは、以下のように計算することができます。
こうして求めた固有ベクトルは、元の、楕円を与える行列Fの固有ベクトルでもあります。

 こうして、楕円の行列Fの固有ベクトル、すなわち、楕円の軸方向のベクトルが求められた。

《固有ベクトルの数が行列の列の数のn個より少ない"異常な"行列Aの場合》
 その行列Aは対角化できない(三角化はできる)という異常さがあります。しかしながら、その異常な行列Aも、固有ベクトルを共有する行列B(同じく異常な行列)との間に、(AB=BA)という交換可能(可換)の関係を持ちます。(相手が正常な行列の場合は、単位行列Eとは可換)
(例)固有値が1の重根を持つ行列A:

は、固有ベクトル

を1つのみ持つ。
その固有ベクトルと同じ固有ベクトルを持つ行列B:

は、行列Aとの積が交換可能(可換)な関係があり、以下の式が成り立つ。

なお、行列Bは行列Aと同じ固有ベクトルを持つ上に、その固有値も、行列Aと同じ1の重根である。ただし、行列Bの全ての成分を2倍にすれば、固有値も2倍になる。その場合の行列Bも行列Aと可換である。



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