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2012年4月25日水曜日

2つの対角行列とある行列の積の交換の定理

 
 
大学への数学Ⅲ&Cの勉強
行列と連立1次方程式


以下のように、1つ目の対角行列Bと、ある行列Aの積の行列と、積が交換された、その行列Aと2つ目の対角行列Cの積の行列が等しいという条件が与えられているとする。
この式を計算すると以下の式になる。
この場合に、これらの行列の要素が以下の様に特定の値に制限される。
この関係を、仮に、
「2つの対角行列とある行列の積の交換の定理」
と名づける。
 行列の問題を解く際に、この定理の条件を与える式が得られたら、その式の解は、以下のように解けることを覚えておくと便利だと思う。

(解の解説)
上の行列の方程式から、以下の関係が得られる。
この解1以外の解については、以下のように、式1から式4により変数が等しくされる関係を図に書いて考える。
(解8)行列Aが0行列であって、対角行列BとCは任意の行列であるという自明な解もある。

 この問題では、以上のように、8個の場合分けされた解が得られる。
 これらの解の特徴は、行列Aが自由に設定できる場合は(解1)の場合だけで、その条件は、行列B=C=単位行列の定数倍のときである。
 行列B=C=単位行列の定数倍という条件が無い場合には、行列Aの少なくとも2つの要素が0になる。

(補足)
この問題の一部として、以下の場合が重要です。
すなわち、以下のように、単位行列の定数倍以外の対角行列Tと交換可能な行列Aを考える。
TA=AT
この行列の解は、上の解7であって、次の式のように行列Aも対角行列になります。
 このように、単位行列の倍数以外の対角行列と積が交換可能な行列は、対角行列のみです。
 このことは、積が交換可能な行列は、その固有ベクトル(の方向)が同じであるという原理に結びついています。単位行列の倍数以外の対角行列の固有ベクトルは(1,0)と(0,1)だからです。
 ちなみに、2行2列の行列に限っては、行列Tと交換可能な行列は、単位行列Eを用いて、cT+dEであらわせます。Tが対角行列の場合、cT+dEは対角行列になるから、対角行列Tと交換可能な行列は対角行列であると言えます。しかし、その話は2行2列の行列に限って成り立つ話です。一方、交換可能な行列は固有ベクトルが同じという原理は、n行n列の行列全てで成り立ちます。

 
 

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